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「お父さんよりうんと頼りになるから安心だけどね、それでも尚登くんと喧嘩でもして帰ってきたくなったら、いつでも帰ってきていいから」
陽葵がうん、といいかけたが、
「喧嘩なんかしませんよ」
自信満々の言葉に京助は微笑む、確かにと思った、この青年には不可能という文字はないのではないかと思える。
「じゃあ、お疲れ様。今日はお酒もおいしいだろうか飲み直すよ」
京助が車を降りる、ドアを閉めたのは石巻だ。運転席に戻る間に、車の中と外で手を振り頭を下げて挨拶をする。
車がゆっくりと走り出す、京助は見えなくなるまで見送っていた。一人娘だ、嫁に出す覚悟はしていたが、やはりその日が近づくと悲しみは増してくる。尚登なら安心という気持ちとごちゃ混ぜになった感情が、顔をぐしゃぐしゃにさせた。
陽葵たちも山下町のマンションまで送ってもらう、ドアを開けようと降りかける石巻を止め、尚登はさっさとドアを開けて降りてしまう。
「ありがとう、助かった」
下りてから尚登が声をかければ、陽葵が乗る運転席の後ろのドアを開き、抑えたまま石巻は頭を下げる。
「なんのこれしき。尚登さまも陽葵さまもお疲れさまでした。本日はゆっくりおやすみください。ああ、呉服屋へ連絡いたします、どうしたらよいか判りましたらすぐにご連絡いたしますので」
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