⑦面倒な仲人

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耳元の頼もしい言葉に、陽葵の心は満たされる。言葉にできない気持ちを込めて尚登を抱きしめ返す。その時、左手の薬指にはめた指輪に触れた。尚登の愛が具現化されたものだ、嬉しさにそれを指でなぞる。 やはり尚登は凄いと思う、この人のそばにいていいのだと安心できた。 「はあ、しかしむしゃくしゃするのは確かだな。明日はフィールド行こう。村上さん誘ったら来るかな、あと良と」 提案に陽葵は微笑む、確かにだ。尚登がサバイバルゲームにハマったのも判るような気がした。 村上はパーソナルジムのトレーナーで経営者だ、比較的時間の自由は聞くが、予約が入れば遊ぶことはできない。 良も忙しいだろうに意外と付き合いがいい、その良と楽し気にしている尚登を見るのも陽葵は好きだった。 ☆ 翌日のフィールド帰り、村上が運転する車の後部座席に座った陽葵がスマートフォンが震えたことに気づく。 今日は良は生憎外せない用があると来れず、村上所有の外国メーカーのSUVで送迎してもらえた。尚登は良のスポーツカーが好きなようだが、やはりSUVのほうが快適だと陽葵は思ってしまう。 通信アプリの着信だ、見れば会社の先輩、三宅さくらだった。見ている間にも着信が続く、陽葵はそのメッセージを開いた。 【かっこいい!】【副社長、さすが! 陽葵ちゃんも似合ってる!】
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