⑦面倒な仲人

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結婚式とはそんなふうに夢や希望が詰まっているのだと初めて知った。 普段着られないドレスを着て、祝福を一身に浴び、スタッフも新郎新婦を立てて傅いてくれる、日常ではありえないことが経験できる、その日ばかりは花嫁は主役だもの、そんな幸せな時間は二度はないと力説され納得した。秘書の山本の言うとおり、情報誌やウェディングフェアで情報を集めたらいいと言われ、それが定番なのだと判った。 あまり突飛なことはできないかもしれない、仲人の国井夫妻の存在が気になった。それでも少しでも希望が反映出来たら……まず、何をしたいのか自分に問わねばだ。 【和装も】 衣桁にかけられた打掛の写真が送られてくる。いつも参考にと送ってくれる写真はピンクや白の基調が多いのが、それが三宅が持つ陽葵のイメージのようだ。今日も牡丹と熨斗の柄が散りばめられた、豪華だがかわいいさ印象に残るものだった。 【牡丹は、幸福とか富貴って意味があるみたい】 こんなのはどうかと教えてくれるたびに柄の意味までつけてくれる、菊は不良長寿、鳳凰は平和、紗綾形は不断長久、貝桶は夫婦和合など、そんな意味を知るだけでも幸せな気持ちになれた。 【でも牡丹は着られる季節があるみたいだね】【柄の組み合わせで結構行けるみたいだけど】【着物のマナーは難しいでゴザル】
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