⑧ブライダルフェアにて

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バンケットルームには30組ほどのカップルがいる、多いなと陽葵は驚いた。デザートが運ばれてくると、その中で既にウェディングプランナーが決まっている数組には担当のプランナーがやってくる。陽葵たちは当然宇野だ。 「いかがでした?」 声かけにふたり揃っておいしかったですと答える。 「挙式まではまだお時間がありますし、季節によって内容も変わりますから、もしよろしければもう一度くらいご試食されるといいと思います」 この料理がタダであることに陽葵は驚くばかりだ、それをもう一回いただくなど申し訳ないと思ったが、尚登は笑顔で是非と応える。 「まだ、メイク室やドレスサロンにもお顔は出していらっしゃらないようですが」 宇野は手元の資料を確認しながら言った。 「それは先でいいと、菊田さんが」 尚登が呆れ気味に応えれば、宇野はまあと声を上げた。 「スケジュールはそこまでには決めて欲しいという目安です。早く式場を決めてくださったなら、他の事もどんどん決めてくださっていいんですよ! 逆に不安になりませんか? あれはどうだったかな、とか、これはどうするんだろう、とか」 確かにと陽葵は頷いた、ずっと悩んでばかりだ。 「早い方は2年前には会場をお決めになられて、招待状をお出しになる方もいます。高見沢様のご招待客の皆様も早くスケジュールを押さえたい方が多いのではないのですか?」
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