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「9時台ですね、10時近くになることも」
「本当に申し訳ありません、それはこちらのマニュアルでもしてはならないことになっています、もちろん緊急ならば別ですが」
サロンの営業時間が夜の8時までとなっている、電話をするならその時間内だ。もちろん新郎新婦がその時間でも間に合わないということならそれ以降も対応はしているが、それほど緊急性はないと思える。
「それも週に2度や3度というとこもあったので、ちょっとトラウマです」
「緊急ではないけれど早めにお伝えしたいことあればメールやSMSを使うことになっております、電話は先方の都合が判らず、お時間をいただくことになりますので。本当に申し訳ありません。ちなみにですが、その番号はなんでしたか?」
そんな時間までサロンにいたのかと思い聞いてみたが。
「080ですね、えっと着歴が」
スマートフォンを操作し尚登が見せてくれた番号を見て、宇野の眉間に皴が寄る。
「……本当に申し訳ありません。その番号は菊田個人のものです」
宇野にも見覚えのある番号だった、間違いない。聞いて尚登は舌打ちする。
「着信拒否をしても?」
「はい、構いません。今後菊田からお電話することはないでしょうし、どうしても菊田から電話をするならばサロンの電話から発信すればいいだけです」
「ですね。たくよぉ……」
イライラしながらも着信拒否の操作をする。
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