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「当日もお色直しの度に撮影はしますが、主に撮影スタジオでのかしこまったものになりますので、もっとおふたりの魅力を引き出せるよう別途撮影するんです、衣装は式当日のものでもいいですし、他にご用意することもできます。別料金にはなりますし、お時間もいただきますのでよろしければになりますが」
「ふうん、確かに、かわいい陽葵をいっぱい記念に撮ってもらうのはいいなあ」
そんなことを恥ずかしげもなく言う尚登に、未だに慣れない。
「館内の庭園でもお撮りしますし、神社や浜離宮といった公園でも──」
「浜離宮は、嫌だな」
それははっきりと不機嫌に言った、尚登の言葉に陽葵もわずかに頷いていた。
浜離宮のデート帰りに陽葵の義理の妹とばったり会い、義妹はその時一緒にいた男性と共に逮捕されてしまったのだ。そのために陽葵も簡単な事情聴取を受けた、義妹と会った時間の証明のために浜離宮で撮影した写真を見せたのだ。
浜離宮に罪はないが、少々嫌な思い出になってしまっている。
「やるならホテル内だな、その辺も少し相談させてください」
尚登に笑顔で言われ、陽葵はうんうんと頷いた。
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