①尚登と良

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「収容人数が、って社長は言ってたよ?」 既に目星をつけている都内のホテルは、着席で千人規模を受け入れられる施設になるそうだ、国内外の関係者や取引先を呼ぶのだという。 「ここだと一番大きくても600人だな」 「……ってことは、逆に日数が増えてしまうんじゃ……」 千人規模の宴会場でも二日間かけて披露宴を行うと言っていた、それだけの人々に結婚の報告がいるということだ。二千人の目に晒されると思うだけでもぞっとするが、それが4日間にも渡るとなれば、もう死んだ方がいいような気がしてくる。 「でもまあ、なんでもかんでも親の言いなりも悔しいから、マジで良と相談してみるのもありかもな。あれだろ、斎藤さんの件だって、かなり無茶したって聞いてる、うちの親もやり込めるんじゃね?」 そんな言葉すら楽しげに言うのを、陽葵は恨めしそうに見る。 「俺だって見世物になるのは冗談じゃねえ。マジで結婚式なんかふたりきりでやりたいもんだ、海外でもいいな」 言いながらスマートフォンはソファーに放り出し、立ち上がれば陽葵の頬に手をかけ優しくキスをした。 「りぃのかわいい花嫁姿なんか、俺だけが見れればよくね?」
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