⑧ブライダルフェアにて

19/22
前へ
/222ページ
次へ
宇野が笑顔で付け足す、確かに綿帽子もサイズがあると言っていた。 「洋髪に結うにせよ、事前打ち合わせは絶対に必要ですので、近日お時間を作りましょう。どんな髪型にするか、考えておいてくださいね」 笑顔で言われ、また決めておかなくてはいけないことが増えたと陽葵は焦ってしまう。 他にもブライダルフェアで見せてもらえる親族の待合室や撮影室など見学し、ホテルを辞することにする。 ロビーへ行けば、支配人がすぐにフロントから飛び出してきた。一緒にやってきた宇野は下がらせ、尚登たちをエントランスまで見送る。 「高見沢様、本日はいかがだったでしょう」 小さな揺れる声で聞く、不安が現れていた。尚登は笑顔で答える。 「楽しかったです、食事もおいしかったですし、陽葵の可愛い姿も見れましたし」 「そうではなくてですね」 判っている、尚登は笑みを崩さず続ける。 「やっぱり菊田さんは駄目ですね、これまで連絡したことが一切記録に残っていないようで、宇野さんにも伝わっていないです」 そんな言葉には支配人の顔はさっと青ざめた。 「なので代えてもらってよかったです、とてもいい方で安心しました、お任せできます」 尚登の言葉に支配人は胸を撫でおろす。 「どうぞ今後ともよろしくお願いします、またなにかあればその場その場で言っていただければ助かります。あ、こちら、お持ちください」
/222ページ

最初のコメントを投稿しよう!

398人が本棚に入れています
本棚に追加