⑨三宅さくらの恋心

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そうか、と陽葵は小さく嘆息する。もしかして良は心が読めるのではと思ったが、どうなのだろう。 「あーん、もう、マジヤバイ! あの背中に抱き着きそうになっちゃった!」 それは陽葵にも判ると思った、いつも尚登のそばにいるが、守り、先導してくれるその姿が頼もしすぎた。 「ねえねえ、相原さんってカノジョいるの!?」 「うーん、どうでしょう、はっきりとは聞いてないですけど、よく『ナナ』って名前が出てくるんです、多分女性ですよね」 「……そうね。あだ名でも男でナナはないかも」 「ナナが許してくれるかな、とか言っていたこともあるので、もしかしたらです」 「くそぅ、残念! 25歳なら、将来を決めた相手とかの可能性もあるわね!」 そう、良の年齢を聞いて陽葵は驚いた。あれこれ手広く事業をしていている男だ、若く見えるだけで年はいっているのかと勝手に思い込んでいたが、若干25歳だという。事業自体は大学時代から始めているというから確かに事業歴はある、しかし自分よりたった2歳しか違わない人が社会を動かす大動脈のひとつになっていることに感動すらした。やれる人間はやれるのだ。 「いや、ワンチャン男の可能性……ほら読みは女の子みたいだけど、漢字は男の子っぽくとかさ」
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