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「羨ましいとは思うよ。人にせよ物にせよ、そうやって情熱を傾けられるのは、熱くていいよね」
そんな言葉に皆は頷く。
「えー、副社長は、陽葵ちゃんのどんなとこが好きになったんですっけぇ?」
三宅が下世話に聞けば、隣に座る陽葵はすぐさまやめてくださいと声を上げたが、さらに隣に座っている尚登はニコニコして応える。
「かわいいもんな」
言葉に陽葵は頬を染め俯くばかりだ、その頬を尚登は指の背で撫でる。
そんな仕草や尚登の幸せそうな顔からジェニーは視線を逸らす──以前その視界にいたのは自分だ。そばにいたいと日本へ来たが時すでに遅しだった、尚登は意中の人を見つけていた。
「かわいいだけなら、いくらでも会ってきたでしょー?」
三宅はなおも意地悪に聞く、尚登は毎週のように見合いをさせられてもいたからだ。
「出会いが出会いだからな。俺が守ってやらねえとって思ったのは事実」
人の目など気にならないのか尚登は陽葵の頬に唇を寄せる。三宅は先ほど陽葵から聞いた話を思い出す、なるほど隙あらばキスをするのは本当なのだ。陽葵は慌てて尚登の口に手を押し当てそれを止めた、さすがに人前では恥ずかしい。尚登は陽葵の手の下でクスクスと笑う。
「迷子見つけたら気になるだろ。犬でも猫でも小鳥でも、世話始めたら情が移るのは当たり前」
「犬猫と一緒にしないでっ」
「かわいいって言ってんだよ」
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