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「好きな色やご自分が似合う色がお判りならそれが一番です、この中にございますか?」
「え、と……好きなのはやっぱりピンクとか、だと思います」
特に気にしたこともないが、服やアクセサリーで選ぶとしたらそれにしている。
藤宮は頷き、さらにピンクの布も出し、少し引き出して陽葵の右肩にかけた。
「ああ、お似合いです。結婚式で着るドレスとしても白に次いで人気の色ですし、多くの方に認知されている色ですから間違いないかと思います」
大きな姿見を陽葵の前まで移動させながら藤宮は言う。
「ピンクのバリエーションも様々ですからそこから選んでもよいですが、せっかくわたくしの元まで来てくださったんです、もう少しこだわらせてください。パーソナルカラー診断というのは聞いたことがありますか?」
陽葵がうなずけば、藤宮は微笑み返す。
「すみません、私もその勉強をしたわけではなく詳しいことは判らないのですが、要は肌色や瞳の色との調和ですよね」
言いながら橙色の布を陽葵の左肩にかける。
「さて、いかがでしょう? こう見るとやはりオレンジ色は浮いて見えますよね」
ほんとだ、と陽葵は鏡に食い入った。これほど鮮やかな橙色の服など買ったことはないが、どうにも顔が浮いて見える。
「となると、ピンクとオレンジ、同じ暖色系でも陽葵さまにはピンクのほうがお似合いと言うことになります」
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