弊社の副社長と結婚します

⑩仕立て屋・藤宮

そして少しばかり異色を放つミニも可愛いと、それも長さや広がり具合を変えて見せてくれる。その実演のためにパニエまでつけてだ。

尚登を隣に立たせてまで全体のバランスを見てくれる。結果、長身の尚登に合わせれば、王道の形の中でもすっきり見えるAラインがよいのではいうので、陽葵はそれに決めた。

「一番はミモレ丈が可愛らしくお似合いだとは思いますが、ご年配の方の参列が多いのでしたら眉を顰める方も多いでしょう。Aラインのスカートでしたらレンタルでも多く流通している形ですから探しやすいと思います。次は胸元のデザインですね、こちらもいろいろでして」

陽葵の体に端切れの布をかけそれを表現してくれた。自分の知識を惜しみなく提供する、細身の陽葵の体型に合う首回りのデザインや袖の形を布で説明付きで教えてくれた。

布だけでは判りにくいものはファイルに収められた写真を見せてくれる、何枚か金髪の美女がいるが同一人物だった、あまりの美しさに陽葵は目を奪われてしまう。

「胸元、お顔周りは定番のストレートビスチェか、陽葵さまは華奢ですから、ハイネック、スクエアネック、ボートネックがおすすめですね」

提案は陽葵にはありがたかった。

「ホルターとハイネックの違いが判らねえ」

尚登が写真を見ながら言う。確かに中間のようなデザインも少なくない。

「簡単にいえば背中に布があるかないかになりますが」