⑪ストーカー

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⑪ストーカー

週明けの月曜日、陽葵は念のためと思い、玉響館に連絡を入れる、カラードレスは持ち込みにしたい件だ。 昼食を食べていたレストランで、尚登や仁志たちに断り席を離れ、出入口の外でスマートフォンから発信する。 しかし宇野は接客中だった、伝言で済むだろうと思ったが、補助の菊田はいるので変わると言う、陽葵は一瞬逡巡したがお願いしますと伝えた。 『はい、お電話代わりました、菊田です』 明るい声に、陽葵の緊張は解れる。 「お世話になっています、藤田です。あの、今度会った時でもいいかなと思ったんですが、知人が紹介してくれたお店でカラードレスは作ることにしましたので、ご報告しておこうかと思いまして」 『まあ、そうでしたか。いえいえ、ありがとうございます、承知しました、持ち込み料となりますのでご予算が変わります、組み込んでおきますね』 菊田の返答にほっとする、連絡してよかったのだ。 『ご婚礼時の衣装は、まだ決まってはおりませんでしたね』 「はい」 『ドレスが決まったのでしたら、そちらも確定してしまいませんか? 近々いらっしゃってください』 「はい、えーっと」 どうしようと思う、席に戻って尚登に聞くべきか。 『ご予定の確認が必要でしたら、改めてお電話くださいませ、お待ちしております』
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