⑪ストーカー

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「別に。結婚式は面倒だけど、かわいい陽葵が見られるのは眼福」 そんなことを言って陽葵を引き寄せこめかみにキスをしようとする、陽葵はまた拒絶の悲鳴を上げてそれを拒否した。 ふたりのやり取りを見て、仁志はにこにこしている。 「うんうん、ちゃんと準備が進んでいるようで、安心したよ」 「ったりめえだろ。やれっていうからやってる」 尚登の不機嫌など、仁志は気にしない。 「そろそろ招待客のリストも仕上げないといけないな」 それも秘書に任せてしまえば早いのだが、仁志は自ら行っている。末吉商事の跡継ぎの結婚式だが、我が子の結婚式であることのほうが仁志にとっては大事だった。 「今度の土曜日に持って行ければ持っていくが?」 「土曜日か、それは待ってくれ、いや、頑張る、いや、どうか」 既にリストアップはしてあるが、住所や人名に間違いがあってはならない。二千人だが実際の送付先は半分近くになるとはいえ、確認作業もそれなりの労力だ。念のため父たる則安の確認もしてもらうつもりだ、改めて欠席や追加する人物もいるかもしれない。
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