②初参戦

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形式ばった丁寧なあいさつを聞いて尚登は思わず足を止めていた、これがグループ企業を束ねる男の社交術かと感じ入る。 「まあ、そうでしたのね。いつまでも幼子のような子でご迷惑でしょうけど、よろしくお願いしますね」 希美が笑顔で返した時、ドアが開け放たれていたリビングから尚登の父の仁志が現れた。 「尚登、朝早くから騒々しい。いい加減、サバゲーなんて遊びは卒業したらどうだ」 荒々しい声を希美が「あなた」と呼びかけ止めた。仁志からは良は見えていなかった、呼ばれて客人がいたと知る。 「これは失礼を……」 「末吉商事社長の仁志さんですね、お会いできて光栄です」 良の真摯な物言いに、仁志はいやあなどと言って頭を掻く。 「尚登の友人にしては、生真面目な」 「失礼な」 仁志の言葉に尚登はすぐさまツッコミを入れる。だがあながち間違えではない、仁志がよく目にするのはこうしてサバゲーの送迎に来てくれるような連中だ、もちろん会社経営をしている仲間も多いが、見た目も言動も荒っぽい者もいる。
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