②初参戦

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仁志に言われ、尚登の目がきらりと光る。 「そうする。言質、もらったからな」 なんのことだと言う仁志を無視して尚登は階段を上がっていく、陽葵は一礼してから慌ててついていった。良もにこやかに辞去を申し出て尚登の後に続く。 「いいのか? 結婚式場なんて」 室内に入ってから良が尚登の背に聞く、尚登の部屋だが、ここしばらく使われていないことは判る気配がある。 「もういろいろ準備してるようなこと言ってなかった? しかも京都じゃ遠くね?」 すっかり通常のカジュアルモードで話す良に、尚登は微笑み答える。 「あんなこと言うくらいじゃ、まだ正式に場所は決まってないんだろ。なら俺たちのやりたいようにやらせてもらおう」 先週仲人への挨拶が終わったばかりだ、これから様々決めていくことになるのだ。 「んじゃあ、まずは服だなあ」 尚登は意気揚々とウォークインクローゼットの扉を開いた。 「つか良、いつもそんな格好なのか?」 仕立てのいいスーツだ。陽葵にも上等の品だと判る。 「逆にめっちゃカジュアルな服って持ってねえんだよね、パジャマくらい」 いつでもどこでもスリーピースだ──それも銃が隠せるからだが、それは言えない。
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