②初参戦

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背後からの声に尚登は振り返る、そこにはコンバットスーツに身を包んだ陽葵が恥ずかし気に立っていた。 「お、いいねえ、似合う、かわいいかわいい」 尚登は取り囲む女性たちには見せない笑顔で迎えた、陽葵は余計に恥ずかしくなる。自分で見ても着させられた感が拭えないのに褒められてしまった。 陽葵の後ろには施設のスタッフがいる。 「ありがとうございました、助かりました」 尚登が最上の笑顔で礼を述べれば女性スタッフは笑顔でいえいえと答え、仕事に戻っていく。 不慣れな陽葵をできれば尚登がサポートしたかったが、女性用更衣室についていくわけにはいかない。施設のものをレンタルする時に女性スタッフに頼めば快諾してもらえた。 陽葵は意気揚々と参加を決めたわけでは、もちろんない。尚登に嬉々としてやろうやろうと誘われ、良にも大丈夫だよと優しく諭され、諦めたようなものだ。確かに以前来た時、尚登たちがプレーしている様子をただ見ていただけでは暇と言えば暇だった、フィールドの全てが見えるわけではない、尚登の姿が見えない時はぼんやりとしているしかないのだ。参加すれば尚登をそばで見ていられるが──いったいどうなることやら。
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