②初参戦

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不慣れな陽葵をできれば尚登がサポートしたかったが、女性用更衣室についていくわけにはいかない。施設のものをレンタルする時に女性スタッフに頼めば快諾してもらえた。 陽葵は意気揚々と参加を決めたわけでは、もちろんない。尚登に嬉々としてやろうやろうと誘われ、良にも大丈夫だよと優しく諭され、諦めたようなものだ。確かに以前来た時、尚登たちがプレーしている様子をただ見ていただけでは暇と言えば暇だった、フィールドの全てが見えるわけではない、尚登の姿が見えない時はぼんやりとしているしかないのだ。参加すれば尚登をそばで見ていられるが──いったいどうなることやら。 陽葵の不安は尚登にも判る、だからこそ知人でありサバイバルゲームにも慣れたジェニー──ジェニファー・サンチェスの協力を得ようとしたが、ジェニーはアメリカに帰るという。 唐突に日本へ行き、しかも帰化までしようとしてることが親にバレしまったのだ。電話で話がつかないため直接会って説得しなくてはいうのでは理解するしかなかった。というより帰化なんかしなくていいんじゃないと言いたかったが、それには口を噤んだ。 「んじゃ、まずは試し撃ちに行こう」
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