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フロント棟の脇にあるシューティングレンジへ陽葵と良を案内する、行けば専門のスタッフが笑顔で出迎えてくれた。
初心者ふたりだ、陽葵には尚登がついた、スタッフは良をいざなう──特段教わらなくても思うが、良は断ったりはしない。
「安全装置はここ、フィールドに入るまでは外すなよ、プロテクターなしで当たると痛いからな」
尚登の説明に陽葵は頷く、場合によっては歯に当たって折れるとも聞いていたからだ。
「反動の少ない銃だ、あの的狙って撃ってみ」
ヒト型の的までは60メートル、そんなものに狙いを定めるだけでもドキドキしたが、陽葵はハンドガンを両手で包みしっかりと握る。揺れる銃の照門と照星を合わることに集中していたが、ひとつ空けた隣の的が音を立てて揺れたのが見えた。
頭部の眉間だ、尚登は感嘆の口笛を吹く。
「すげー、本当に初めてかよ、やっぱタダもんじゃねえな、良」
「たまたまだよー」
笑顔で言いながら数発試し撃ちをし、別の銃も試す。
(──ふむ。しょせんはおもちゃか)
いずれも物足りないと言えば物足りない、軽すぎて狙いを外しそうだ。
(──って。初めてマグナム撃った時の事、思い出すわあ)
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