弊社の副社長と結婚します

②初参戦

尚登たちもその一角に立った。市街戦のエリアでは見学可能なキャットウォークが設置されている、今日はとびきりその人数が多いのは尚登と良見たさだろう。
尚登と良はリラックスしているが、陽葵は緊張のピークだ。

（どうせなら早くいなくなりたい）

思いながら尚登の隣で銃をかかえ立っていた。クローブの指先にでも弾が当たれば終了だ、両手を上げヒットと宣言し、他のプレーヤーの邪魔にならないよう速やかにフィールドから出て行く、それを脳内でシミュレーションしていた。

そんな陽葵の緊張を良は感じる、見るからにガチガチだ。自ら志願して参加しているわけではないのだ、当然だろう。

「俺もこわーい、尚登からぴったり離れないようにしないとな」

良がおどけていえば、尚登は笑いながらそれを受け入れる。

「陽葵さんもね」

良に優しく言われ、陽葵は何度も頷いた。
まもなく開始のサイレンが鳴る。

「んじゃ行くかー」

尚登は楽し気に言って銃を構える、陽葵も不慣れな手付きながら銃を手にした。