②初参戦

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左手方向のドラム缶の陰から別のプレイヤーに銃口を向けている者がいることに気づいた。 「陽葵さん、左側にあるドラム缶、判る?」 背後からの声に陽葵はすぐに視線を向けた、男性の半身が見える。 「撃っちゃえ」 良の言葉に「でも」と言いかけてやめた、これはゲームだ。震える手に鎮まれと念じて押さえ、意識を視線とトリガーにかけた指に集中する。指に力を込めれば弾が発射された、ドラム缶の陰にいた男性はがくりと肩を落とすと両手を上げて立ち上がった。 「ヒット」 じりじりと下がっていく男性の姿を見て、陽葵は自分の心境の変化を感じた──妙な高揚感を。 「すげえじゃん」 尚登の素直な賞賛もそれに発破をかける。 「んじゃあ、どんどん行きましょ」 良も嬉々として声をかければ、尚登は進軍を始める。
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