②初参戦

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感じ取ると言っても一言一句判るわけではない、どちらかと言えばイメージで伝わってくる。陽葵の押し潰されそうな苦しさや悲しみ、あるいはつい近頃、妙な男に暴行を受け深くきずいたこと──そんな陽葵の心に差し込む一条の光が尚登だ。地獄に垂れてきた蜘蛛の糸さながらに、だがそれは力強く陽葵の手を取り泉の淵まで引き上げる存在だ。そんなことを感じ取り笑顔になってしまう。 「──心配だねー、家業を継いでるのは俺の弟なんだ、今度話しておくね」 自分には除霊の技術も知識もないとにこりと微笑み言えば、尚登も陽葵もへえと声を上げる。 「弟さんが継いで?」 「んー、その辺はまた話すと長いし複雑なんだけど、簡単に話せばそれまで家長だった祖母が弟の方がいいって連れて行っちまって」
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