②初参戦

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真剣なまなざしに陽葵は何度も頷き答えた。 「頼んだぞ、四ノ神(ヨツノカミ)」 陽葵を見たままの言葉だった、だがそれに反応して良の足元の影がざわと蠢き、良から陽葵へと移動する──それに気づいた者はいなかった。 「ふうん、そんな人がいるなら廃病院でも廃ホテルでも行けそうだな。俺も一枚噛みたい」 尚登は2杯目のビールをスマートフォンで注文しながら言う。 「んな、末吉の副社長ともあろうお方が、俺みたいなぽっと出の経営者とやらなくても自分で企画運営できる手腕もお金もあんでしょ」 良は笑顔で言ったが、尚登は盛大なため息で答えた。 「結局そうなんだよ、俺がなんか始めても、結局末吉の息子がついてくる。それが嫌なんだ」 嫌だ、というのも十分子どものようだと思うが、尚登には尚登の悩みがあることは判る。 「いっそのこと、末吉商事の一部門で始めてみたらいいんじゃね?」 良が適当なことを言えば、尚登は今度は嫌そうにため息を吐いた。 「それを許す親たちじゃないし、周りもな」
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