②初参戦

34/44
前へ
/178ページ
次へ
「そんな平安時代から続いてるお家柄の良が、なんで実業家なんてやってんの?」 「んー? 別に実業家なんて俺自身は名乗ったことないしなー。簡単にいえば、金があったから」 良はとても気軽に答えた。 「実家の金?」 「実家? ああ、弟んとこね。そっちは親父が無関係でいたいって言ってんだから、必要があっても頼まないな、ってそもそもそんなに金はなさそうな雰囲気かな」 界隈では有名な家業だが一般には知れていない、忙しくしている様子は感じられなかった。 「俺ね、高校時代なんだけど、ちょっと株に手を出したんだよね、そしたらなぜだか濡れ手に粟で、倍々ゲーム」 それもチート級の勘の良さのお陰だが、内緒である。 「2年くらいやったかなあ、自分でもマジかよって思う桁数いって、まあそのまま貯め込んでてもいいんだけど、どうせならなんか運用してみるかって横浜駅の近くに店借りてカフェを始めたらこれまた大当たりで、現在に至る」 尚登は頷きながら聞いていた、カフェを開いてからの快進撃はネット記事でも読んでいた。 「でも、なんで支店にしなかったんだ? カフェが当たったなら2号店、3号店でもよかったんじゃ」
/178ページ

最初のコメントを投稿しよう!

360人が本棚に入れています
本棚に追加