②初参戦

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そんな言葉に目を見開いたのは陽葵だ、そんなような話を聞いた気もするが、本気だったとは──尚登は陽葵の髪を指の背で撫でた。 「施設運営なんてできればいいなと漠然と思ってたけど、良とできるかもって思ったらマジでやる気出たね。良のほうの話が流れたなら、ちょっとマジでアメリカ行き、考えるわ」 「え、そんなレベルでいいの? ちゃんと準備とか」 良が心配になってしまう安直さだ、アメリカなどふらりと行って働けるものなのか。 「留学してた時によく出入りしてた施設があんだよ。そこは軍人や警察官も訓練に来るようなガチの施設で銃も空砲だけど本物で」 「うおー、さすがアメリカー」 「そこの施設長とは未だに連絡とってるし、いつか戻るからなって言ってあるから、本当に戻っても笑って受け入れてくれると思う」 もっとも尚登が末吉商事の次期社長であることも知っている、そんな男が戻ってくることはないだろうと思っていた。だからこそたまには遊びに来いと声をかけてくれているが。 「ふうん、そこまで考えるなら、真面目にやるか。あそこが駄目でも他の場所を探してみても……」
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