②初参戦

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腕を組み思案する。ひたすら事業を拡大させるつもりはないが停滞させる気もなかった、そんな思考が実業たるゆえんだろうか。 ☆ 十分飲食し、良が車でふたりをマンションまで送った。 「陽葵さん、今日はめっちゃアドレナリン出てると思うから、十分注意してね」 サイドブレーキを引きながら良が言う。 「え……あ、はい」 有名な脳内麻薬の名に陽葵はドギマギと返事をする。確かにだ、疑似とはいえ戦闘に参加した、エアガンとはいえ人に向けて銃を発射した、自分も狙われた、そんなことの興奮が未だに続いているのが判る。 「やたらハイになったり、怪我をしても気づかなかったりするから。まあ、慣れた尚登がいるから大丈夫だと思うけど」 助手席を降り座席を倒そうとしていた尚登は微笑みウィンクをして返事をする、力強い行動に陽葵はホッとする。 「今日はありがとね。楽しかった、また誘って」 良が声をかければ、尚登は助手席側から覗き込み答える。 「こちらこそ、送迎してもらったうえに、ご飯も奢ってもらって」 『よろずや』での会計は良が持った、もっともフィールドの会計は全て尚登が持った、その礼だ。
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