②初参戦

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☆ 火照りを感じる体を、陽葵はシャワーで冷ます。 良の言うとおりだ。ゲームの最中から今まで感じたことがない興奮がずっと続いている、激しい興奮ではない、ずっと体の奥底でくすぶるような感じだ。それだけにどうしていいのか判らなかった。 ため息を吐きシャワーを止めると風呂を出た。真冬だが尚登もシャワーでいいという、フィールドにあるシャワーで汗は流してきたからかもしれない。 体にバスタオルを巻いただけで脱衣所を出る、ワンルームの小さな部屋だ、尚登がテレビをつけっぱなしでスマートフォンを操作している横顔がすぐに見えた。 「お待たせ」 言えば尚登はおうと答えてスマートフォンを放り出し立ち上がる。 「先寝ててもいいぞ」 「んもう、まだ7時だよ」 とはいえ、良も言っていたように、自分で気づいていない疲れがあるのかもしれないことを気遣ってくれていると判る。スキンケアを済ませパジャマを着ると素直にベッドに潜り込んだ。 まだテレビは点いたままだ、掛け布団に顔を半分埋めてその画面を見つめる。 眠気はない、まだ宵の口だからというのもあるが──むしろ、体を動かしたい気分だ。 (……これは)
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