②初参戦

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「そうだけど……」 「ほれ」 コップが目の前に出された、口をつければお湯も足してわずかに温かい水だった。 「よし、寝るぞ」 飲みかけの水は入ったままリビングセットのローテーブルに置いた、その脇にあるリモコンで部屋の照明を落とす。 尚登は濡れた髪のままベッドに潜り込んだ、尚登にしても眠気に襲われているわけではないがしっかりと布団に潜り込む。 「尚登くん……」 小さな声で呼んだ、尚登の返事は「んー?」である。 「そっち、行っても、いい?」 別に離して置いているわけではない、それでもマットレスも上掛けも別のベッドだ、そういう言い方になった。 「どうぞ」 尚登は上掛けをわずかに持ち上げ陽葵を誘う、陽葵は体をずらすようにして移動した。ベッド自体はまだひんやりとしている、だが尚登の体温を感じ安心できた。布団に潜り込み尚登の胸に額を押し当てる。 「今日は、楽しかった」 「そりゃよかった。誘った甲斐がある」 陽葵の髪にキスをして尚登は応えた。 「また行こう──って、今度はいつになるんだろうな、しばらくは結婚式の準備でいそがしくなりそうだ、良に正式に相談しねえと」 そんな話も今日はついでではあるができたが。
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