②初参戦

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「うん、そうだね」 言いながら陽葵は尚登の体に手の平を押し付ける、その熱を感じたかった。すると頭上から笑い声がする。 「どうした、陽葵」 からかうような口調だ、陽葵は慌てて離れたが。 「陽葵から誘ってくんのは珍しいな」 「さ、誘ったつもりは──」 慌てて離れたが、その前に尚登の腕に捉えらえた、欲しかったものだ、熱いため息が漏れてしまう。 「疲れてるだろうとは思ったけど、陽葵サンがそのつもりならいくらでも付き合いますよ。どうせ明日は休みだし」 戦争のような極限状態までいかなくても、スポーツで勝敗を競うような場合に起きた興奮は、試合が終わったからといって収まるものでもない。それが勝利で終わったのならばなおのこと、いかなる方法で発散はしたくなるものだ。 そんなつもりは、と言いながらもキスをされれば興奮が全身を駆け巡った、これまでに感じたことがない快感だった。キスだけでも声が漏れ、呼吸が荒くなり足をこすり合わせてしまう。 「尚──」 呼びかける声さえ掻き消えてしまう、尚登も冷静を装っているが興奮が溜まっていたのだから。 キスをしながら陽葵のパジャマの上衣のボタンを外したが、全部外し時間も惜しいとはだけさせただけで乳房に舌と指を這わせた。たったそれだけで陽葵は悲鳴のような声を上げて背を反らせる。 幸せな時間の始まりだった。
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