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③大切なもの
複数の笑い声が聞こえ意識が浮上した、陽葵はようやく目を開ける。
「おう、おはよう」
すぐ近くで尚登の声がして、髪を撫でられた。
「おはよ……」
眠い目をこすり時間を確認しようと壁掛け時計を探す、その前にテレビの声が聞こえ、いつも見ているバラエティ番組だと判り陽葵ははっとする。
「え、もうそんな時間……! 起こしてくれたらよかったのに」
10時台の番組だ、今日は尚登の実家に洗濯をしに行く予定があるのに。
「りぃの寝顔が可愛すぎて見惚れてた」
本気らしい言葉だが、どうにも恥ずかしい。口を開けたりしていないのだろうか、目が半開きだったりしたら本当に嫌なのだが。
「すぐに支度するね」
身支度だ、シャワーを浴びて服を着てメイクをする、尚登よりはるかに時間がかかる。
「ご飯はどっかで食べようね」
昨夜はやや夕飯が早かったのもあって空腹を感じていた。ファストフードかカフェチェーンかななどと思いながら体を起こし、ベッドから降りようとして動きが止まった。
「どうした?」
様子に気づいた尚登が声をかける。
「──全身、めっちゃ筋肉痛」
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