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「え、お風呂場まで手を貸してくれれば……」
「いいって、いいって」
立ち上がると陽葵を横抱きに抱き上げた。
「え、や……っ」
慌てて尚登の首に腕を回し、体を固定する。なんとも恥ずかしい、全裸で抱き上げられるなど。
「今日は家で寝てな」
尚登が優しく言う。
「え、いいよ、田園調布には私も行く」
使った道具や服の数は膨大と思えた、自分が使ったものもある、その片付けや手入れを尚登任せにはできなかった。
陽葵の訴えに尚登は微笑み、陽葵の額にキスをした。こういう責任感の強さが陽葵の魅力のひとつだからだ。
☆
昼前には尚登の実家へ行き、洗濯機を2回転させる衣服を洗い、ふたりがかりでベランダに干した、そんな作業すら楽しかった。
洗濯機を回している間に銃の手入れも行なった。分解までしての手入れは午後に回した、まずは表面の汚れを丁寧に拭きとり、ブラシやブロワーで吹き飛ばす。
洗濯ものを干し終え、尚登がよしと手を打った時、お手伝いの女性がお昼をどうぞと声をかけてくれた。
既に1時を回っている、仁志たちは待つことなく食べ終えていた。
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