④ホテルにて

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嫌そうに言いながらパソコンをスリープ状態にする。 「そこは逃げられないんじゃないんですか?」 山本は荷物を確認しながら聞く、そうは言っても荷物は多くはない、しょせん尚登の仕事は仁志のサポートでしかない。 「なんで会ったこともない人間を招待して祝ってもらわねえとならねえんだよ。友達の友達のそのまた友達レベルだぜ? 見ず知らずの人間だっつうの」 会社の支店の社長だというならまだ判る、その取引先までに及ぶのは全く意味が判らない。希美の言う「顔を知ってもらうため」だとしてもだ。 「もしイチから式場探すとしたら、どうやって探すんだろう……」 ふと思った疑問を陽葵が口にする。 「結婚情報誌を買って探したり、有名人が使った教会や式場を使ってみたいって感じじゃないですかね」 自身も未婚の山本が悩みながら答える。それを聞いて陽葵はああと呟いた、情報誌の宣伝は度々目にしている。 「街でドレスを着て撮影しているのなんか見ると近くに式場があるのかなって思いますよね。あ、ブライダルフェアなんて広告を見ますよ、そういうので好みの式場を見つけるのかもしれません」
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