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☆
都内にある相手先の会社での会合を終えてホテルへ向かう。
地下駐車場から1階へ上がりフロントで名を告げれば話は通っていたようだ、すぐにお待ちくださいと言われ、奥から支配人が頭を下げながら出てくる。
「これは高見沢さま、早速のご来訪、嬉しく思います」
深々と頭を下げての挨拶だった、仁志はよろしくと答える。
「息子の尚登と、お相手の陽葵さんだ。お世話になるよ」
尚登はよろしくお願いしますと軽く頭を下げただけだが、一歩下がった場所に立つ陽葵は最敬礼で頭を下げた。
「これはこれは、美男美女のカップルでございます。誠心誠意お手伝いさせていただきます」
「玉響館さんも百戦錬磨だ、任せてしまって問題ない」
仁志の言葉に尚登は内心毒気づきながらも表面は取り繕い笑顔だった、陽葵は真逆で目を輝かせて支配人を見つめる。
「教会といくつかの宴会場が空いております、少しご覧になって行かれますか?」
「いや、今日は挨拶と顔見せだけです、それは尚登たちだけが見ればいい。今日は急に来て申し訳なかったです」
アポイントメントを取っていたわけでもない、突然の訪問を受け入れてくれたことに礼を述べる。
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