④ホテルにて

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だがどうも金持ちの主張した結婚式であることが否めないのが嫌だった、もちろんそういう結婚式を望むカップルもいるだろう、現に忙しそうだ。 「なあ、マジで披露宴だけでいいんじゃね? 式だけは陽葵とひっそりと」 「いや、式にも参列してもらう、その名簿も作るから」 さすがに二千人全員は神社に入ることはできない。 「はあ……マジ、むかつく」 ただ好きな女性と結婚したいだけなのに、それならば形式的は紙切れ一枚で済む話だ。披露宴など必要ないと言いたい。せめて1回だけで済ませたい、あとは尚登たちが決めていいと言っていた、招待状も尚登たちが出すのだ、招待客リストから厳選してやろうかと画策してしまう。 地下駐車場に着いた、1台の車のウィンカーが光り、その隣に停まった車のエンジンがかかるのが判る。その車の運転席が開き男が下りて深々と会釈した、仁志の車の運転手だ。尚登の車には運転手はいない、尚登が運転をしたがるのを、しかたなしに受け入れている。 尚登は運転席に乗り込みエンジンスイッチを押すが。 「──おんや?」
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