⑤結婚準備、始動

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「どうぞ中へ、こちらは本日は出番がありませんので入ってくださって構いませんよ」 尚登の腕に触れて誘おうとしたが、尚登は察知し避けて陽葵を伴い奥へ進む。 こちらは前後に長い造りだ、入り口から長手方向の先端の壁に高砂が用意されている。 入ったはいいがまるでダンスホールだ、どこへいけばいいのかも判らない。陽葵はキョロキョロするばかりだ。 「まあ、俺はなんでもどうでもいい。陽葵が決めな」 尚登も見たからと言って何か感想があるわけではなかった、陽葵を伴い窓へ寄る、長手方向の壁の片側の半分が大きな窓になっている。覗き込めば中庭の日本庭園が見えた。 「そんな……私も、どっちでも……」 「すぐに決めていただかなくても大丈夫ですよ、現時点ではまだ予約の相談すら入っておりません、平日の昼間のおかげでしょうか」 土日休日の大安ともなれば2年先でも予約は入るが、現時点では相談もなかった。 「もう検討したいというかたおいでになればすぐに相談させていただきますが、少しゆっくりお考えになってもよろしいかと思います」 そんな言葉も尚登にだけかける。 「では、今後の予定など、お話させてください」 菊田は笑顔でいざなう、尚登だけを。
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