⑤結婚準備、始動

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言いながら菊田は心の中でガッツポーズを決めていた。 (今ならフリー、不倫だなんだと騒がれない、っと) だからどうした、と自分でツッコミを入れながらも顔は笑みをたたえて尚登たちを見る。 「おお、式に対するご希望だってよ、なんかあるのか?」 「希望?」 尚登の手元を覗き込む、二枚目そこはフリーの欄となっている。例、と書かれ、こだわりのあるもの、音楽・花・色・食材、などとある。 「花ねえ。陽葵(ひまり)だから向日葵(ひまわり)とか?」 尚登は再度陽葵の頬に触れんばかりに近づき笑顔で言う、陽葵は「えー」と嬉しそうに声を上げた、以前話した名前の由来を覚えていてくれたのだ。 「2月でしょ? 真冬にひまわりなんて」 「まったくの不可能ではございませんよ。花は世界中で作られていて、取り寄せることができます。十分お時間もありますし、手配は可能かと」 菊田の言葉に陽葵は「すごい」と目を輝かせた。 「でも、お高いんじゃ……」 定番のように感じるフレーズを思わず口にしてしまった。 「ええ、少し割高になるかもしれません。メインのお花の手配次第で概算は出せますから、あらためてご相談としましょう。ひまわりの数を調整したり、他の花は安いものにするなどで調整もできますし」 聞いて陽葵はほっとする。
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