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「一度、ご家族にご確認してくださいませ。いざ出してみたら虫食いがあったなんてこともございますし、ご試着もなさった方がよろしいかと思います、お父様の体格は存じ上げませんが、尚登さまはずいぶん身長がお高いですから袖や丈が足りなくても困ります」
「確かに」
父も決して低い方ではないが、その父を追い越したのは中学生の時だ。
「あ、申し訳ありません。お衣裳も当館や、提携のドレスサロンさまならばお金はかからないのですが、お手持ちのものや、外部のショップからとなると持ち込み料がかかります」
老舗の高級ホテルがいちいち持ち込み料を取るのかと尚登は思った、だがそれも商売か、少しくらいハードルを上げねば無法地帯だろう。
「同じ頃から参列をお願いしたい方にもご報告をしていくといいと思います、人数が多くて大変だと思いますが」
「ああ、99%取引先なので、父がやると思います、言っておきます」
そもそも父と祖父主導と言っていい結婚式だ、それくらい任せよう。
「まあ」
菊田は微笑んだ、さすがは跡取り息子とだとほくそ笑む。
「秋、涼しくなったころ招待状を発行したします、こちらで印刷や発送の作業はできますが、どうしますか?」
「数が数なので、お任せします」
「承知しました、夏頃にデザインの相談をさせてください。その頃には衣装も完全に決めます。衣装に合わせた文金高島田のかつらや小物なども──」
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