⑤結婚準備、始動

14/17
前へ
/202ページ
次へ
尚登は大きなため息を吐いた。 「めんどくせー……」 「そんなことを言ってはなりません、花嫁様にとっては一世一代の晴れ舞台です」 そんなことは笑顔でたしなめる、まるで息子か恋人に対するものだ。 「列席者からのお祝いの言葉や、ご友人たちに挨拶や余興を頼むのでしたらこの頃までに引き受けてもらってください、プログラムに入れますので」 「あーはい」 尚登は面倒そうに答える。 「友人の余興はないな。来賓あいさつくらいか、これがまた、多そうだなあ……」 祖父や父が知っている取引先の面々だ、尚登のことなど知らなそうな連中ばかりだから、そんな話を聞かなくてはならないと思うと既に憂鬱だった。 「一日あたり千人の列席者からでは、確かに多そうですね」 いったいどんな面々なのか、列席者を見るだけでも目の保養になりそうだと菊田は思った。
/202ページ

最初のコメントを投稿しよう!

381人が本棚に入れています
本棚に追加