⑥邪なウェディングプランナー

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携帯電話の番号は判る、書いてもらったプロフィールにあった情報を業務用の携帯電話に入れてあるからだ。うきうきとその番号を探す、別段業務時間外の使い事は禁止されていない、緊急の用事がある時もあるからだ。 「尚登さん……ううん、尚登くん、よねぇ……尚登、なーんてねー」 ニコニコしながら発信ボタンを押していた。 ソファーに座り、陽葵の髪を撫でながらテレビを観ていた尚登が着信に気づく。画面に出ている番号に見覚えがないのは当然だ。 誰だと思いながら出ていた、別に気づかなったならば無視していたが見てしまったものはしょうがない。 目の前のローテーブルからそれを持ち上げる、その隙にと思ったわけではないが陽葵は立ち上がり、持っていたコップをキッチンへ運ぶ。 「はい?」 『あ、高見沢尚登さんのお電話でよろしいでしょうか、わたしく、玉響館、ブライダルサロンの菊田です』 名乗りがなくても声で判った、尚登はため息が出そうになるのを堪える。 「はい、お世話になっています、こんな時間にどうしました?」 『ごめんなさい、装花についてでして、ひまわりは手配できそうなんですけど、数はどうしようかと』 「はあ」
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