⑥邪なウェディングプランナー

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『どんな色を主体にするかですよね、黄色メインならひまわりは多くてもよいですし、他の色でしたら少なく』 「あー、済みません、その手の話でしたら陽葵とお願いします。りぃ」 尚登は立ち上がりながら陽葵を呼ぶ、陽葵もすぐに反応した。 「玉響館の菊田さん、花の件で話だってよ」 やや遠くても自分の名が呼ばれたことに菊田は満足する。 尚登のスマートフォンを受け取った陽葵は菊田の質問に答えた、ほんの数秒で終わる会話だった。 「はい、そちらでよろしくお願いします」 陽葵が明るく答えると、 『承知しました、では最後にご新郎さまに代わっていただけますか?』 陽葵は何の疑いもなく尚登にスマートフォンを差し出す、尚登は嫌々ながらもそれを受け取った。 「……はい?」 『夜分に申し訳ありませんでした、おやすみなさいませ』 「……いえ、遅くまでお疲れ様です、気にかけてくださりありがとうございます」 それは半ば嫌味の言葉だったが、菊田は上機嫌で失礼しますと言えば、尚登から電話を切った。 スマートフォンの画面を見つめ、尚登は嘆息する。 「──これって、今この時間に聞かないといけないことだったのか?」
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