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あまり見た目がよくないとまあお似合いだけど、金をかけて結婚式なんかしなくても笑顔の下で思う。
美形ならば。
挙式の翌日には離婚すればいいと願うはもちろん。
女性にはひっそりと意地悪をする。わざと名前を間違えたり、ばれるようひっかいたりぶつかったり──みっともないと言われればそうだが、そうすることでストレスを解消していた。
そして、男性相手では、一番楽しい仕事となる。
プランナーとして接しながら、花嫁は自分だと思うのだ。ああしてみたら、こうしてみたらと提案すれば、特に知識もない新郎はいいですねと笑う、そんなことが幸せだった。ご覧になって、どうぞこちらへと体に触れても誰も文句を言わない。その手に腕や背中の筋肉を感じてあらぬ想像をすることもある。男はガリガリでも筋肉がありすぎても好きではない──そう、尚登くらいが好みだ。
「本当、いい男だなぁ。あれほどの優良物件、今までにいたぁ? 年上の女は駄目かなあ」
言いながら陽葵のプロフィールを思い出す。まだ23歳、社会に出たての世の中の酸いも甘いも判っていないような小娘ではないか。自分からすれば子どもだ、男はそんな女の方がいいのか。
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