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異世界転生のやり直し
「キースの魂だ。キースは、このあと混乱して世界を滅ぼしてしまう。それを防ぐために、そなたを呼んだのじゃ」
「滅ぶ? でも、まだ未来は決まっていないですよね?」
「いや・・・・・・。この世界は366回創造を繰り返している。しかも毎回、躓くところは一緒だ」
「え? だからと言って、私が代わりに国王をやるわけには・・・・・・。私が未来から来たのなら、ほっといてもどうにかなるのでは?」
「残念ながら、それはない。時の神、ヴァーチェも、今のところ滅ぶ未来しか見えないと言っている」
私は地の精霊ノームが手にしている、小さな竜巻の様な白い塊を見つめていた。
「その、手のひらの上にあるキース王は、どうなるのですか?」
「それなんだが・・・・・・。異世界へ転生させることが、十二神会議によって、先ほど決定したのじゃ。それを伝えに来た」
「え?」
「でも記憶が無いと、それはそれで──そなたも困るであろう? 精神崩壊しかけている奴の記憶そのままにして、魂を移すのは危険じゃからな。それで特別に、わらわがキースとその側近の関係性を書いたノートを用意したのじゃ」
「え? ありがとうございます?」
私は小さな手帳サイズのノートを受け取ると、ついつい御礼を言っていた。
「では、後は頼む」
「えっ、ちょっと待ってください。えっと、私は・・・・・・。エリオット様と結婚した後も、騎士団長の後任が見つからなくて、忙しかったオーベル様に言われて──確か実験の手伝いで、研究室に行ってオーベル様を待っていたはずです。待ちくたびれて、ジェイドと2人で先週、魔の森で採れたというキノコを食べましたが・・・・・・あ!!」
「ようやく気がついたか・・・・・・。そうだ、そのキノコの毒によって、そなたは亡くなったのだ」
「いや、でも毒キノコなんかじゃなかったし、同じものをいつも食べて──」
「あのキノコは、魔素を多く含むと毒を生成する、毒キノコだったんじゃよ」
「まさか、魔素が増えたことによって、魔素を吸収して毒キノコになったってこと?!」
「その通りだ。アイリス・グレイとしての生を終えなければ、こちらへ呼び戻すのは不可能だったからな。思ったより早くこちらへ戻って来ることになってわらわも驚いておる。あの時、一緒に居たジェイドも、こちらの世界へ来ておるよ」
「ジェイドが?」
「ああ。どっちかって言うと、勝手について来たみたいな感じじゃがな」
「何でジェイド・・・・・・。あの、エリオット様は私がいなくなった後、どうしていましたか?」
「それなんじゃが・・・・・・」
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