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ミランヌ村
「・・・・・・ここは?」
目を開けると──私は、まだ暗闇の中にいた。目が慣れてくると、そこは薄暗い部屋の中であることが分かった。
「目が覚めましたか?」
傍らには、少女が立っていた。幼い彼女の周りには緑の光が溢れていた。周りを取り囲むようにしてある緑の光はフワフワと漂いながら舞っている。
「貴方は? ここは・・・・・・」
小学校高学年に見える彼女は、私のおでこに手を当てると、ホッとしたような顔をしていた。
「ミランヌ村です。貴方は、村長が連れ帰って来ました」
「村長?」
「私の父です」
「スープは飲めますか? 父が手加減を間違えてしまって、貴方の意識は、ここしばらく戻りませんでした。貴方が、ここへ来てから3日経っています」
「3日?!」
「どうぞ」
「ありがとう」
私は少女から手渡された椀を受け取ると、スープを啜った。野菜がたくさん入った身体に良さそうなスープだった。
「ごちそうさま。美味しかったわ」
塩の味付けのみのスープだったが、野菜が新鮮なのか、とても美味しいスープだった。お椀を返す時に彼女へお礼を言うと、微笑み返された。よく見ると、彼女の耳は少し尖っている。
「もうすぐ父が帰ってきます。それまで、ここにいてもらえますか?」
彼女のお願いは聞いてあげたいところだが、長い間、国王が国を留守にする訳にもいかない。
「ごめんなさい。私・・・・・・」
私が断ろうとした時、ドアの閉まる音が別の場所から聞こえた。
「サミュー、帰ったぞ。いるのか」
「お父様!!」
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