再生

1/1
前へ
/62ページ
次へ

再生

「さよう。この地に巨大な亜空間を造り、森の一部ごと亜空間へ、転移魔法で移したのだ」 「そんな事が・・・・・・。それでは、ここの人達は逃げのびた後に1000年もの間、ここへ住んでいたのですか?」 「そうなるな。亜空間に魔術をかけると、時間が止まっている状態に近くなる。人工灯を太陽の代わりとし、転移で移動させた森の恵みから食料を得ていたが、それにも限界があってな。時々、通常空間へ降りては食料や物資を調達していたのだが、亜空間で魔族が住み続けたせいか、亜空間と亜空間ではない空間の間に(ひず)みが出来はじめている」 「歪み?!」 「そこへ魔術を放てば、空間大爆発が起こるだろう。さっきは、冷や冷やしたぞ。インフェルノが亜空間の上空を過った」 「空間大爆発?」 「ああ。空間大爆発が起きれば、人族だけでなく、魔族も危うい。下手をすれば、この世界もろとも吹き飛ぶだろう」 (空間大爆発は、ガンマ爆発みたいなものなのかしら? それにしても、インフェルノって・・・・・・。もしかして、ユリウスが放った魔術のこと? インフェルノにしては、そんなに威力が無かったと思うのだけれど・・・・・・。私が使ってたら、不味かったかもしれないわね) 「それを警告するために、わざわざ私を攫ったのか?」 「それもあるが・・・・・・。亜空間で暮らし続けるのには、限界があってな。人が住む亜空間に時を止める魔術をかけても、完全に止まる訳ではないんだ。まあ、生き続けるというのは、そういうことらしい。それに、いくら寿命が長くも、ケガをしたりして亡くなってしまう場合もあるからな。だから・・・・・・」 「だから?」 「一度、亜空間を出て、もう一度、亜空間を造ろうと思っている。それに、協力して欲しい」  ミランヌ村の村長は、椅子から立ちあがると私に対し頭を下げていた。
/62ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加