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空間魔術
「何を手伝うというの? 私に亜空間を作ることは・・・・・・」
「一度、亜空間を無くして、新しく造り直し、通常空間へ戻る。その間、戦に巻き込まれたりしたくないんだ」
「それを保証しろと?」
「万が一、そうなったら力を貸してくれるだけで構わない。キース殿の魔力は桁外れみたいだからな」
「何故、その事を知ってる?」
「何故って。纏っている空気で分かるっていうか・・・・・・。たぶんだが、キース殿も魔族の血が流れているのではないか?」
「いや・・・・・・」
「思い当たる節があるのか?」
「全くと言っていいほど無い」
「そうか。どうだ? やってくれるか?」
「即答は出来ない。国王が、安易に城を離れるわけにもいかないし」
「そうか」
「弟に出来ないかどうか、聞いてみる」
「弟?」
「アーリヤ国にいるんだが、こういうことに詳しいらしんだ」
ジークの話では、マジックバッグを開発した第3王子のスピンズが、空間魔術に詳しいと聞いている。詳しくは知らないが、魔術オタクで、魔術塔に籠もって魔術具の開発ばかりしていることで有名だと聞いている。
「恩に着る」
「あまり期待しないでください」
「分かった」
「それにしても、時間の流れが遅いって、成長しないってこと? あれから一体、何年経ってるんだ?」
「私の説明が悪かった。戦争が起きてから、ちょうど100年が経っている。この空間内では、時のは流れが1/10になる。魔族は1000年くらいが寿命だから、人族からしたら、戦争が起きた後、亜空間に入って成長していないように見えるだろうな」
「最後の生き残りだと言われた魔女のことは──知っていますか?」
「ああ。あいつは好きな奴が出来たと言って、村から出ていったんだ。でも、結局上手くいかなかったみたいで、泉の側に屋敷を建てたみたいだ。戦争で両親を亡くしてるし、俺達の村には帰りたくても、帰って来れなかったんだろうな。魔族ってのは、感情に疎い上に、意地っぱりみたいなところがあるからな」
「知ってるのか? あの人は、罪を犯して──」
「知ってるさ。自業自得だ。悪いが、全ての魔族が、いい奴とは限らない。人族も、そうだろう? 何度か帰ってくるように言ったが、既にばあさんになっていたからな。説得は出来なかった。それに、人族に魔族の生き残りがいると、悟られたくは無かったからな」
「彼女には然るべき罰を与えるつもりだ」
「当然だろう。そのことに異論は無い」
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