屋敷の調査

1/1
前へ
/62ページ
次へ

屋敷の調査

 エドガーに、亜空間の外まで送り届けてもらった私は、ひとまず魔女の屋敷へ向かった。泉の前に人影を見つけて、繁みの中から様子を伺っていたが、少しすると、その人物がユリウスだということに気がついた。 「ユリウス!!」  思いきって足を踏み出し、声を掛けるとユリウスは、こちらを振り返った。 「キース様!!」  駆け寄って来て私のことを抱きしめるユリウスを見て、そう言えば前にもこんなことあったような・・・・・・。という気がしていた。 「心配をかけて、すまない」 「・・・・・・とにかく、無事で良かった」  エドガーの話では、7時間も経っていないということだったが、ユリウスは凄く心配していた。 「本当にキース様なんですか? 今まで、どこにいらっしゃったんです?」 「いろいろあってね。その話は、あとで。ジークは、今どうしてる?」 「すごい剣幕で城へ帰ってきたかと思えば、血相を変えて『陛下が何者かに連れ去られた』と言っていたので、私はひとまず、状況を見に戻って来たんです。ジークは、何か探索できる魔術具を開発しようとしていました。陛下の魔力が測量器では感知できないとか何とかと言って・・・・・・」 「そうだったの。それにしても、何だか急に暗くなってきたわね」  さっきまで薄暗い程度だったが、ほんの数分で真っ暗になっていた。 「急ぎ城へ帰りましょう」  ユリウスがそう言った瞬間、魔女の屋敷からコウモリが飛び立った。 「きゃっ・・・・・・」 「コウモリを飼っていたんですかね。とにかく、急ぎましょう」  ユリウスにそう言われたものの、私は魔女の屋敷から微かに光る緑の光が気になっていた。 「屋敷にコウモリなんて、おかしいと思わない?」 「思いません。魔女の屋敷ですから」 「ユリウス、やっぱり先に帰っててくれない?」 「陛下。何を仰っているのです?」 「私、目の前にある問題を放っておけない性分なの」 「そうでしょうね。でも問題は、まだ起きてないハズです」 「問題がありそうな事については、深く調査すべきだわ」 「・・・・・・」  私がそう言うと、ユリウスは何も言わずに、立ち去ろうとした。 「待って。何処へ行くの?」 「・・・・・・魔女の屋敷です」 「ありがとう。ユリウス」  私達2人は、正面にある扉から魔女の屋敷の中へ入ったのだった。
/62ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加