13人が本棚に入れています
本棚に追加
屋敷の調査
エドガーに、亜空間の外まで送り届けてもらった私は、ひとまず魔女の屋敷へ向かった。泉の前に人影を見つけて、繁みの中から様子を伺っていたが、少しすると、その人物がユリウスだということに気がついた。
「ユリウス!!」
思いきって足を踏み出し、声を掛けるとユリウスは、こちらを振り返った。
「キース様!!」
駆け寄って来て私のことを抱きしめるユリウスを見て、そう言えば前にもこんなことあったような・・・・・・。という気がしていた。
「心配をかけて、すまない」
「・・・・・・とにかく、無事で良かった」
エドガーの話では、7時間も経っていないということだったが、ユリウスは凄く心配していた。
「本当にキース様なんですか? 今まで、どこにいらっしゃったんです?」
「いろいろあってね。その話は、あとで。ジークは、今どうしてる?」
「すごい剣幕で城へ帰ってきたかと思えば、血相を変えて『陛下が何者かに連れ去られた』と言っていたので、私はひとまず、状況を見に戻って来たんです。ジークは、何か探索できる魔術具を開発しようとしていました。陛下の魔力が測量器では感知できないとか何とかと言って・・・・・・」
「そうだったの。それにしても、何だか急に暗くなってきたわね」
さっきまで薄暗い程度だったが、ほんの数分で真っ暗になっていた。
「急ぎ城へ帰りましょう」
ユリウスがそう言った瞬間、魔女の屋敷からコウモリが飛び立った。
「きゃっ・・・・・・」
「コウモリを飼っていたんですかね。とにかく、急ぎましょう」
ユリウスにそう言われたものの、私は魔女の屋敷から微かに光る緑の光が気になっていた。
「屋敷にコウモリなんて、おかしいと思わない?」
「思いません。魔女の屋敷ですから」
「ユリウス、やっぱり先に帰っててくれない?」
「陛下。何を仰っているのです?」
「私、目の前にある問題を放っておけない性分なの」
「そうでしょうね。でも問題は、まだ起きてないハズです」
「問題がありそうな事については、深く調査すべきだわ」
「・・・・・・」
私がそう言うと、ユリウスは何も言わずに、立ち去ろうとした。
「待って。何処へ行くの?」
「・・・・・・魔女の屋敷です」
「ありがとう。ユリウス」
私達2人は、正面にある扉から魔女の屋敷の中へ入ったのだった。
最初のコメントを投稿しよう!