建国するにあたって

1/1
前へ
/88ページ
次へ

建国するにあたって

「俺も詳しくは聞かされていないんですけど、それが条件で父親であるカルム伯爵は、カルム領をカルム国として認め、尽力することを約束したんだと思います」 「・・・・・・」 「父はカルム国が出来たら、元老院で役職に就くと言ってました。キース様は、エリオット様を探しているのでしょう? あの2人のどちらかだったら、不味いかなと思いまして」 「そうよね。あの2人の内のどちらかという可能性もあるわよね」 「それにしても、ジェイドはどこまでいってもジェイドよね。もともとのネモフィラ嬢が、どんな性格だったのか知らないけど、私にはジェイドにしか見えないわ」 「ネモフィラ嬢は、普段は奥ゆかしい女性なのですが、学友の内のどちらか1人なんて選べないって思って悩んでたんです。どっちも選べないなんて、俺からしてみたら贅沢な悩みですけどね」 「立ち入ったことを聞くけど、奥ゆかしい女性が、そんな感じで大丈夫なの?」 「あ!!」 「今度は何?」 「思い出しました!!」 「・・・・・・何を?」  私は嫌な予感がしつつも、ジェイドに聞き返した。今、知らなくてもいいことなのかもしれないが、いずれ聞かなければならない話だろう。ほとんど直感的にそう思った。 「この世界観、どっかで聞いたことあると思ったら、従兄妹のノンちゃんから聞いたゲームの内容と一緒です」 「もしかして白薔薇の第3シリーズ?」 「違います。ノンちゃんは腐女子だったので、乙女ゲームなんか、やりません」 「まさか・・・・・・」 「はい。BLゲームです」  私は、まさかの展開に眩暈がしそうになりつつも、聞き返した。 「えっと、オメガバース設定の?」 「いえ、そちらではありません。えーと、『Dom/Sub』って言うんですかね?」 「あ、そっち・・・・・・」  私は前世でハマっていた『Dom/Sub』吸血鬼シリーズのBLゲームを思い出していた。 「どんな内容なの?」 「俺はやってなかったんで、あんま覚えてないんですけど、確か主人公がアーリヤ国の王子で・・・・・・。相手役が騎士と宰相、それから商人と魔術師・・・・・・。だったような? はっきりと覚えてないんです。間違ってたら、すみません」
/88ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加