最後の一枚

2/2
前へ
/19ページ
次へ
「――あちゃー、残念だったな兄ちゃん」  それから、数分経て。  そう、朗らかに笑いつつティッシュを差し出すおじさん。僕は感謝を告げつつも、内心は緊張に押し潰されそうで。  ……まずい、あと一回――正真正銘、これが最後の一回で。と言うのも、僕の手持ちはあと一枚。そして――今日がこの抽選会、最後の日だから。  震える手で、最後の一枚を手渡す。そして、更に震える手で抽選機のレバーを回す。……どうか、どうか奇跡よ――  ――コロン。 「…………え」  
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加