……そっか、当たったんだ。

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 直後、一人ポカンとするあたし。いや、だって……遠目からでも分かるくらい、あたしの視界には予想だにしない光景が広がって――  その後、ほどなく琉人(りゅうと)の姿が見えなくなったのを確認し抽選所の方へと近づく。そして、例のハチマキのおじさんに先ほどの光景について尋ねてみると―― 『……ん? ひょっとして、あの兄ちゃんの知り合いかい? 姉ちゃん。いやーさっきは驚いたよ。折角1等が当たったってのに、4等のぬいぐるみと交換してほしいなんて言い出すもんだから。それも、別に限定品でもない、確かこの近くの雑貨屋にも置いてるような品物(もん)なのにな。まあ、俺からすれば断る理由もねえんだけどな』  そう、快活な笑顔で話すおじさん。そこに琉人を馬鹿にしたような様子はなく、言葉の通りただただ純粋に驚いているようで。そして、それを聞いた私は―― 『……ん? どうしたんだ姉ちゃん? 随分、嬉しそうな表情(かお)して』
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