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「――ほら、もう7時半よ。起きなさい藍李」
「うーん、あと5時間」
「せめてあと5分と言いなさい」
翌朝、自室にて。
寝ぼけ眼を擦りつつ、徐に身体を起こす。すると、視界に映るは呆れたようなお母さんの表情。まあ、あと5時間も寝てたら遅刻どころの騒ぎじゃないしね。
「…………あら」
ふと、ポカンと口を開くお母さん。そんなお母さんの視線は、布団をはがしたあたしの胸元――正確には、そこに抱きかかえられたぬいぐるみへと向けられていて。そして、少し間があった後、お母さんは暖かな微笑を浮かべて言った。
「――あら、お気に入りが変わったのね、藍李」
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